柳田邦男さんの寄稿文がとても良かった。二郎に代表される当時の技術者の心理や、時代背景を深読みして解説している
評論家のコメントはいくつも読んだが、宮崎監督とほぼ同世代の飛行機好きの軍国少年だった筆者ほど宮崎監督の心情を
理解してこの作品を解説している評論は無いと思われるのでぜひ一読されたい。
柳田さんは少年時代グラマンの機銃掃射に震え上がったそうである。近所の人が亡くなるのも見ている。にもかかわらず
飛行機好きで、英米の戦闘機や爆撃機の絵をを描いては友達にあげていたらしい。空襲の恐怖体験と飛行機好きの心理は
分離している。人間とは不思議なものだ。
宮崎監督は重慶爆撃のシーンも入れるつもりだったらしい。さんざん試行錯誤して止めてしまった。
このあたりの宮崎監督の想いは読者それぞれが想像されたい。
庵野さん、松任谷さん、宮崎監督の「風立ちぬ」完成報告会見は実に面白い!
特に庵野さんは言いたい放題。
「最初、この映画、何じゃ、これはと思った」、「七十二歳を過ぎてようやく、二十歳過ぎの映画が出来た」、「宮さん、大人になるんだ」
こんなことが面と向かって言えるのは庵野さんと押井守監督ぐらいか。
瀧本美織さんがヒロインに選ばれた経緯も解った。高畑監督の推薦なのは知っていたが。
瀧本さんはもともと「かぐや姫の物語」のヒロイン候補だったらしい。この人は「風立ちぬ」のほうが向いている。高畑監督の判断だったようだ。
武田頼政さんの寄稿も面白い。
堀越二郎のこんな言葉を紹介している。「私は職業の選択に失敗したと思う。他の分野では大した仕事は出来なかったかもしれないがそれでもよい
私の子供には彼等の好みと才能にあつたところの、戦争を放棄した日本にふさわしい永続性のある職業が見つかるように心の底から祈っている」
日本の戦争指導者を「狂人共」とも書いている。
しかし武田さんは、もし零戦が存在しなければ、果たして日本は対米戦に踏み切ることなどできただろうか。とも書いている。
「風立ちぬ」は呪われた夢に懊悩する堀越二郎と、そこに自らを重ね合わせた宮崎駿さんによる、希有な零戦作品である。と
「風立ちぬ」が大空にあこがれた少年の物話なら、「かぐや姫の物語」は地上にあこがれた少女の物語である。
それから、これはまったくの私見だが「この世界の片隅に」はピラミッドの頂点にいる人と底辺にいる人を性別も境遇も全部ひっくり返して
観た太平洋戦争、そんな気がしている。空襲の最中も空想しているすずさんはどこか二郎に似ている。スパイに間違われたりしているしね。
そんな風に映画を観たら面白い気がする。
いままでのジブリの教科書のなかでも特に密度の濃い一冊でした。
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ジブリの教科書18 風立ちぬ (文春ジブリ文庫 1-18 ジブリの教科書 18) 文庫 – 2018/5/10
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実在の人物である零戦の設計家、堀越二郎をモデルに、堀辰雄の小説『風立ちぬ』にも着想を得て描かれた、宮崎駿原作・脚本・監督による2013年公開の作品。
国内外で高い評価を受けた本作について、柳田邦男をはじめ、武田頼政、小橋めぐみ、岡崎琢磨、岩宮恵子、半藤一利らが読み解く。
国内外で高い評価を受けた本作について、柳田邦男をはじめ、武田頼政、小橋めぐみ、岡崎琢磨、岩宮恵子、半藤一利らが読み解く。
- 本の長さ203ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2018/5/10
- ISBN-104168120171
- ISBN-13978-4168120176
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- 出版社 : 文藝春秋 (2018/5/10)
- 発売日 : 2018/5/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 203ページ
- ISBN-10 : 4168120171
- ISBN-13 : 978-4168120176
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