るろうに剣心-明治剣客浪漫譚- 星霜編 ~特別版~ Premium Edition. [DVD]
フォーマット | 色 |
コントリビュータ | 冨永みーな, 和月伸宏, 涼風真世, 藤谷美紀, 上田祐司 |
言語 | 日本語 |
稼働時間 | 1 時間 30 分 |
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商品の説明
レビュー
監督・演出・絵コンテ: 古橋一浩 原作: 和月伸宏 脚本: 吉田玲子 作画監督・キャラクターデザイン: 松島晃 音楽: 岩崎琢 声の出演: 涼風真世/藤谷美紀/冨永みーな/上田祐司/土井美加/白鳥由里/佐々木望/池田秀一/甲斐田ゆき/鈴置洋孝/大塚明夫/金子はりい
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)
登録情報
- メーカーにより製造中止になりました : いいえ
- 言語 : 日本語
- 梱包サイズ : 18.03 x 13.76 x 1.48 cm; 83.16 g
- EAN : 4534530002280
- メディア形式 : 色
- 時間 : 1 時間 30 分
- 発売日 : 2002/9/26
- 出演 : 涼風真世, 藤谷美紀, 冨永みーな, 上田祐司
- 言語 : 日本語 (PCM)
- 販売元 : SME・ビジュアルワークス
- ASIN : B00006C1VN
- ディスク枚数 : 1
- Amazon 売れ筋ランキング: - 255,124位DVD (DVDの売れ筋ランキングを見る)
- - 44,189位アニメ (DVD)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年4月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
『るろうに剣心 星霜編』(上下巻)は、シリーズ最終章として描かれた完結編。まさに、シリーズの完結編にふさわしい見応えのあるアニメーションになっていると思います。
幕末の動乱の中で人斬りとして生きてきた剣心が巴と出逢ったことにより小さな幸せを見つけていく。しかし、その巴はかつて剣心の手によって許婚を殺されていたのだ。復讐の為、巴は剣心に近づいたが、剣心と生活していく中で剣心がそうであったように巴の中でも何かが大きく変わっていった。
しかし、人斬りとして生きてきた剣心に普通の幸せなど訪れるはずはなかった。巴の犠牲によって剣心の命は助かったが、(結果として巴をその手にかけてしまった)剣心の心は救われることはなかった。彼の頬に刻まれた消えることのない十字傷のように自身が殺してきた数多の犠牲者の宿業を生きている限り背負っていかなければならないのだ。
星霜編は、その宿業を描いたあまりにも悲しいストーリー。だが、それが幕末人斬りとして生きてきた剣心の背負っていかなければならないものではないだろうか。ファンとしては、みているのが辛いエピソードではあるが、犠牲者のことも忘れてはならない。まさに、縁が言ったセリフではないが、
「おまえの人生を見届けてやる」
ということになるのではないだろうか。剣心が新しい時代を迎えて剣を置いたあとどう生きてきたのか?その集大成がこの作品だとわたしは思っている。
『るろうに剣心』で好きなエピソードは何か?と質問されたならば、おそらく多くの方が京都編をあげるのではないでしょうか。わたしも京都編は好きなエピソードです。だが、『るろうに剣心』という作品の本筋から言えば、一番大切なエピソードはこのアニメーションでも描かれている人誅編なのだ。
終始、救いのないように映る星霜編だが、最終的に剣心の消えることのない十字傷が消えたのが救いだったのではないだろうか。まさに、そのことによって剣心は救われたとわたしは思っている。
そして、ラストで剣心の子供が剣心が亡くなったであろう場所で思いを馳せるシーンがある。だが、次の瞬間には恋人とともに笑顔で歩き出す。幕末から続いていた宿業は子供に引き継がれることなく新しい時代を予感させるラストシーンだったのではないだろうか。
賛否が分かれる星霜編かもしれませんが、わたしは人斬りとして数多の人を殺してきた剣心の最期としてはこの終わり方しかなかったと思います。非常に悲しいストーリーではありますが、最終的には救いのある作品。ぜひファンの方はご覧ください。(2018.4.19記)
幕末の動乱の中で人斬りとして生きてきた剣心が巴と出逢ったことにより小さな幸せを見つけていく。しかし、その巴はかつて剣心の手によって許婚を殺されていたのだ。復讐の為、巴は剣心に近づいたが、剣心と生活していく中で剣心がそうであったように巴の中でも何かが大きく変わっていった。
しかし、人斬りとして生きてきた剣心に普通の幸せなど訪れるはずはなかった。巴の犠牲によって剣心の命は助かったが、(結果として巴をその手にかけてしまった)剣心の心は救われることはなかった。彼の頬に刻まれた消えることのない十字傷のように自身が殺してきた数多の犠牲者の宿業を生きている限り背負っていかなければならないのだ。
星霜編は、その宿業を描いたあまりにも悲しいストーリー。だが、それが幕末人斬りとして生きてきた剣心の背負っていかなければならないものではないだろうか。ファンとしては、みているのが辛いエピソードではあるが、犠牲者のことも忘れてはならない。まさに、縁が言ったセリフではないが、
「おまえの人生を見届けてやる」
ということになるのではないだろうか。剣心が新しい時代を迎えて剣を置いたあとどう生きてきたのか?その集大成がこの作品だとわたしは思っている。
『るろうに剣心』で好きなエピソードは何か?と質問されたならば、おそらく多くの方が京都編をあげるのではないでしょうか。わたしも京都編は好きなエピソードです。だが、『るろうに剣心』という作品の本筋から言えば、一番大切なエピソードはこのアニメーションでも描かれている人誅編なのだ。
終始、救いのないように映る星霜編だが、最終的に剣心の消えることのない十字傷が消えたのが救いだったのではないだろうか。まさに、そのことによって剣心は救われたとわたしは思っている。
そして、ラストで剣心の子供が剣心が亡くなったであろう場所で思いを馳せるシーンがある。だが、次の瞬間には恋人とともに笑顔で歩き出す。幕末から続いていた宿業は子供に引き継がれることなく新しい時代を予感させるラストシーンだったのではないだろうか。
賛否が分かれる星霜編かもしれませんが、わたしは人斬りとして数多の人を殺してきた剣心の最期としてはこの終わり方しかなかったと思います。非常に悲しいストーリーではありますが、最終的には救いのある作品。ぜひファンの方はご覧ください。(2018.4.19記)
2022年6月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
前作、
追憶編が原作を上手く活かし、
拾い上げ
話を膨らませ、
ファンから支持されたのに対して、
此方は、
賛否両論が巻き起こった問題作です(笑)
良くも悪くも、
リアル寄りにした結果、
物語とキャラクターが陰鬱かつ悲惨で
アンチご都合主義となってしまい、
TVシリーズや原作の作風から乖離し、
熱心なキャラクターファンから
推しキャラの悲惨な末路や、
アニメアニメしたベタベタした絆ではない
リアルなしっとりした、
人間関係に嫌悪感を感じ、
否定的な評価=二次創作や黒歴史❗
と評する方々も現れる結果となりました。
原作が、
主人公とヒロインが結婚し、
息子も生まれ、これからというところで終り。
これから幸せに〜
十字傷も薄くなってきた〜
だったのに対して、
此方の「星霜編」は、
その息子が大きくなり祝言間近、
各キャラクターの回想ベースで進んだ末、
人誅編もほぼ、描かれず、
只々、
キャラの悲惨で無情な生涯を見せられる。
という点を
各々どう捉えるかによる
と言ったところでしょうか…
追憶編が原作を上手く活かし、
拾い上げ
話を膨らませ、
ファンから支持されたのに対して、
此方は、
賛否両論が巻き起こった問題作です(笑)
良くも悪くも、
リアル寄りにした結果、
物語とキャラクターが陰鬱かつ悲惨で
アンチご都合主義となってしまい、
TVシリーズや原作の作風から乖離し、
熱心なキャラクターファンから
推しキャラの悲惨な末路や、
アニメアニメしたベタベタした絆ではない
リアルなしっとりした、
人間関係に嫌悪感を感じ、
否定的な評価=二次創作や黒歴史❗
と評する方々も現れる結果となりました。
原作が、
主人公とヒロインが結婚し、
息子も生まれ、これからというところで終り。
これから幸せに〜
十字傷も薄くなってきた〜
だったのに対して、
此方の「星霜編」は、
その息子が大きくなり祝言間近、
各キャラクターの回想ベースで進んだ末、
人誅編もほぼ、描かれず、
只々、
キャラの悲惨で無情な生涯を見せられる。
という点を
各々どう捉えるかによる
と言ったところでしょうか…
2014年8月4日に日本でレビュー済み
:
この作品の評価は★1が目立つようですが、視点を変えればきっと目からうろこの★5もまんざらではないかもしれません。お目通しいただければ幸いです。
原作マンガとしての視点でこの作品を観るなら評価が低いのは仕方ありません。なぜなら、この作品は人間ドラマとして描かれており、必殺技を駆使する痛快活劇ではないからです。それを求める方は、実写版映画をご覧になることをおすすめいたします。わたしの場合、泣けて泣けてどうしようもなく号泣してしまいました。一言でいえば、本編が終わった後の、修羅の道から菩薩の道へ入った剣心の人生を描いた作品だと言えるでしょう。
★剣心はヒーローではありません。
この作品(星霜編)の主題は「人斬り抜刀斉のその後の人生」です。剣心(勝者)には人の命をうばった贖罪の意識にさいなまれ、己の幸せを許すことができない心的描写にクローズアップされていますのでエンターテイメント的要素はありません。西洋人や大陸人ならば「力づくで奪ってでも勝利は勝利であり、勝者こそが正義」の図式ですから、ハリウッド映画のようにヒーローとして扱われ、パッピーエンドになるのでしょうけど。
★重いテーマに「魂をこめた」挑戦作。
剣心は重いカルマを背負った人物である以上、償いの人生を描かなければならないというのがこの作品の宿命です。ジャンプ世代を対象にしたマンガではある意味、このテーマを取り上げるには重すぎたため、取り扱わなかったのかもしれません。監督さんは批判を甘んじて受けとめる覚悟でこのテーマに取り組んだ挑戦者だといえるでしょう。「死」の結末は、これまで対決してきた人物も同様であり、何ら特別なことではありません。むしろ、剣心の記憶喪失後、妻の膝で死す結末は監督さんの優しさだったのではと思います。冒頭シーンで剣心が海に落ち「このまま、俺は・・・いや、これで、やっと・・・」と言わせています。悲しいけれど、老人になってまで贖罪の念に苦しむ剣心のほうが見たくないし、もっと見たくないのは、贖罪の意識もなく過去はなかったことにして、幸せな人生をまっとうしようとする剣心の姿です。
★「日本人魂」がすばらしく描かれており、何もかもが美しい。
西洋列強がもっともおそれたのは、日本人の精神、魂です。それは武士の「大和魂」と日本人女性の「大和心」の二本柱です。この作品は、現代においてはすっかり失われてしまった「日本人魂」が刻印されております。相手を思いやる心、謙譲の心、謙虚さ、敬意、やさしさ、いたわり合い、分かち合い・・・剣心も薫殿も、ほんとうに美しい。ふたりには、エゴがどこにもないのです。どこまでも、相手への愛しかないのです。登場人物をここまで美しく描ききった監督さんは、本当にすばらしい。きっと、日本人に違いない!!(笑)
★ただただ、薫殿が美しい。
マンガのような現代っ子的に描写された薫殿ではなく、波乱の明治時代を生きた等身大の日本人女性としての薫殿が描かれています。外見的な美しさはもとより、士族の女性としての矜持、一途にひとりの男性を支えるひたむきさ、謙虚さには目を見張るものがあります。そして真の強さは剣の腕前などではなく、薫殿のように無手勝流で相手を抱き参らせる包容力であることに気づかされます。(それらが「大和心」なのであります!)
そこが深い。薫殿の所作とセリフにそれが表現されており、薫殿の美しさはそこに集約されています。
ことに自己主張で幅をきかせている現代の女性たちに、真の美しさとは何かを、深く観じてみられる価値があるのではないかと思いました。
★剣心は妻も子供も捨てたのではありません。
そもそもつぐないの旅の道中で薫殿と出会って、『るろうに剣心』の物語はスタートしたのです。剣心は「数多の命をうばってきた男が幸せになることなど、許されるはずもない」という意識が根底にあった。それを承知の上で薫殿の深い愛により結婚することができ、こどもをもうける幸せまでも体験することができたのです。けれども剣心は、家庭の幸せに甘んじて留まる人生を選択しませんでした。彼の意識の根底には「かならず、生涯をかけて罪をつぐなう」決心が大前提であり、それを実践する人生でなければならなかったから。剣心はこう言っています。「許されるものなら、残りの人生、すべてをかけて薫殿ただひとりをしあわせにするために生きていけたら、どんなに幸せか・・・」
★剣心の「感染症」は、まさに「るろうに献身」の結果。
奉仕活動を十数年続けてきたなかで、ついに剣心は不治の病にかかってしまいます。剣心の不治の感染症は、それだけ長年にわたる「壮絶な奉仕に身を殉じた行為」の描写に他ならないのです。当時の衛生状態からすると、病人看護をして感染することなど、珍しくはなかったはずです。剣心はこう言っていました。「剣なく人を守る力すら失ったいまの自分にできることは、高みから手を差し伸べるのではなく、苦しみ、痛みを分かち合い、少しでも生きる励みとなること・・・薫殿、許してくれるか?」と。
★薫殿が剣心の病気をもらった、ほんとうの理由。
薫殿はひとり奉仕に身を徹する夫を待ち続けながら、子育てと道場の運営をきりもりしてきたのです。決してやわな女性ではありません。薫殿は別離のさみしさから夫とのつながりを求めて病気をもらったようなセリフを言いますが、もっと実は深いかもしれません。わたしは女性ですが、男性諸氏ならおわかりだと思います。男性の生きる欲求の根源が何であるかを。
薫殿は、「今度、剣心が帰ってきたら、・・・剣心が生きる喜びを感じてくださるのならば、生きている実感を得てくださるのならば・・・(病気がうつることを百も承知で)・・・あなたの欲求を満たしてさしあげたい・・・わたしはあなたの妻ですから・・・!」という薫殿の献身的な愛だったのかもしれません。そして剣心はそんな妻に甘んじて、妻の上に覆いかぶさるのです。「すまない、薫・・・」と言って・・・。恵さんはこう言っています。「そんな病を、みずから受け容れたのよ・・・それがあの子の尽くし方」と。
★左之助は、大陸を離れられない理由があった。
山県有朋(第3代内閣総理大臣)に大陸への出動を要請されて海にわたった際、海に落ちて記憶を失った剣心。クライマックス直前で、左之助は剣心を見つけ介抱するが、剣心ひとりを日本行きの船に乗せて見送ります。おそらく、もう二度と会えないだろうことを思いながら、剣心を抱きしめて別れるのです。
ところで左之助のモデルは新撰組の原田左之助です。原田は維新後、大陸に渡り馬賊の頭目になったという史実があるようです。ということは、この作品中の左之助も馬賊であることがわかります。(左之介も新天地で生きる道を見つけたのですね^^)剣心に対して「連れて行ってやりたいが、俺はこっちでやることがあるんでな」と言って、付き添い人を頼んで左之助は見送ります。このとき左之助はできる限り精いっぱいの行動をとったのです。
★剣心の「死」はまぬがれない結果。悲しいけれど・・・。
剣心は人の命をうばったから自分も(病気という形で)命を落とさなければならなかった。因果律です。それでも善なる人生を歩もうとする剣心の姿に胸をうたれるのであり、その夫をひたすら深い愛で支える妻の描写が美しいと感じるのです。
ふたりはどこまでも「愛のために」生きたのです。これこそ、人間が転生する真なる目的であり、その実践の結果が愛であるか否か・・・ここに到達してはじめて、輪廻の環から解き放たれる――この作品の味わいは、そこにあるのだと言えるでしょう。
★剣心の命はすでに剣路にバトンタッチされている。
全体的に重い話の中で、唯一の希望は剣路の存在。父親に反発してはいるが、同じ剣の道を歩んでいることや、比古清十郎のもとに転がり込んだ様子などから、実際は父の愛を渇望していることが読み取れます。弥彦から逆刃刀を受け取るシーンは本当にすばらしい。しかしこのシーンにこそ、父の人生を受け継ぎ、己の人生を歩む新たな幕開けとなるのです。剣心は親も知らない孤児でした。けれど剣路はまちがいなく両親に愛されて育ったのです。剣路の「俺たち、幸せになろうな」という言葉はこのストーリーを締めくくるにふさわしく、おそらく剣路も人の子の親になって初めて、父親の存在の偉大さをかみしめ、心から感謝することでしょう。
===この作品から受け取ったメッセージ===
剣心が生まれた江戸時代までは日本が世界で唯一成し遂げることができた、「完全循環型社会」であり、日本人の精神を美徳とする幸せな文化が続いた世界でも類を見ない成熟した社会でした。明治維新は、日本の文化と精神を完膚無きまでに否定した、西洋礼賛の黎明期でした。それから約150年。わたしたちはすっかり欧米型の狂った日本人としてできあがってしまいました。剣心たちが、現代のわたしたち日本人を見て、「日本人の精神は、死んでしまったのでござろうか」と絶句してしまうことは容易に想像できます。この作品は、現代の価値観で見れば、ナンセンス極まりないでしょう。武士道精神は今の価値観とまったく逆なのですから。けれども日本人としてのDNAを保持しているわたしたちは、明治維新に生きた記憶も刻印されているわけで、殺したり殺されたりの人生も経験してきているのです。過酷な時代を生き繋いでくれたご先祖様に、深い感謝をあらためて感じずにはいられません。どんな境遇にあろうとも、人間として生まれてきた以上は、剣心や薫殿のように、ただひたすらに無条件の愛を生きることが真なる目的であることを思い出させてくれる作品でした。剣心や薫殿に恥じぬよう、しっかり目を覚まして謙虚に生かさせていただきたいという思いにさせられました。そういうわけで★5!です。
以上、わたくしの一個人としての感想でした。
★1つをつけるのも、★5つをつけるのも、あなた次第です。どうぞご覧になってみてください。
===星霜編を鑑賞するためのアドバイス===
●原作者のストーリーとは、別ものであり、原作者でない人物が脚本を書いたものであるということを認識したうえで視聴する心構えが必要です。
●必殺技を駆使したエンターテイメントではありません。内面の描写を最大限に掘り下げた作品です。
●本来の日本人魂が生きていた時代の物語です。現代人の価値観を外してお楽しみください。
長文お目通しいただき、感謝いたします。
この作品の評価は★1が目立つようですが、視点を変えればきっと目からうろこの★5もまんざらではないかもしれません。お目通しいただければ幸いです。
原作マンガとしての視点でこの作品を観るなら評価が低いのは仕方ありません。なぜなら、この作品は人間ドラマとして描かれており、必殺技を駆使する痛快活劇ではないからです。それを求める方は、実写版映画をご覧になることをおすすめいたします。わたしの場合、泣けて泣けてどうしようもなく号泣してしまいました。一言でいえば、本編が終わった後の、修羅の道から菩薩の道へ入った剣心の人生を描いた作品だと言えるでしょう。
★剣心はヒーローではありません。
この作品(星霜編)の主題は「人斬り抜刀斉のその後の人生」です。剣心(勝者)には人の命をうばった贖罪の意識にさいなまれ、己の幸せを許すことができない心的描写にクローズアップされていますのでエンターテイメント的要素はありません。西洋人や大陸人ならば「力づくで奪ってでも勝利は勝利であり、勝者こそが正義」の図式ですから、ハリウッド映画のようにヒーローとして扱われ、パッピーエンドになるのでしょうけど。
★重いテーマに「魂をこめた」挑戦作。
剣心は重いカルマを背負った人物である以上、償いの人生を描かなければならないというのがこの作品の宿命です。ジャンプ世代を対象にしたマンガではある意味、このテーマを取り上げるには重すぎたため、取り扱わなかったのかもしれません。監督さんは批判を甘んじて受けとめる覚悟でこのテーマに取り組んだ挑戦者だといえるでしょう。「死」の結末は、これまで対決してきた人物も同様であり、何ら特別なことではありません。むしろ、剣心の記憶喪失後、妻の膝で死す結末は監督さんの優しさだったのではと思います。冒頭シーンで剣心が海に落ち「このまま、俺は・・・いや、これで、やっと・・・」と言わせています。悲しいけれど、老人になってまで贖罪の念に苦しむ剣心のほうが見たくないし、もっと見たくないのは、贖罪の意識もなく過去はなかったことにして、幸せな人生をまっとうしようとする剣心の姿です。
★「日本人魂」がすばらしく描かれており、何もかもが美しい。
西洋列強がもっともおそれたのは、日本人の精神、魂です。それは武士の「大和魂」と日本人女性の「大和心」の二本柱です。この作品は、現代においてはすっかり失われてしまった「日本人魂」が刻印されております。相手を思いやる心、謙譲の心、謙虚さ、敬意、やさしさ、いたわり合い、分かち合い・・・剣心も薫殿も、ほんとうに美しい。ふたりには、エゴがどこにもないのです。どこまでも、相手への愛しかないのです。登場人物をここまで美しく描ききった監督さんは、本当にすばらしい。きっと、日本人に違いない!!(笑)
★ただただ、薫殿が美しい。
マンガのような現代っ子的に描写された薫殿ではなく、波乱の明治時代を生きた等身大の日本人女性としての薫殿が描かれています。外見的な美しさはもとより、士族の女性としての矜持、一途にひとりの男性を支えるひたむきさ、謙虚さには目を見張るものがあります。そして真の強さは剣の腕前などではなく、薫殿のように無手勝流で相手を抱き参らせる包容力であることに気づかされます。(それらが「大和心」なのであります!)
そこが深い。薫殿の所作とセリフにそれが表現されており、薫殿の美しさはそこに集約されています。
ことに自己主張で幅をきかせている現代の女性たちに、真の美しさとは何かを、深く観じてみられる価値があるのではないかと思いました。
★剣心は妻も子供も捨てたのではありません。
そもそもつぐないの旅の道中で薫殿と出会って、『るろうに剣心』の物語はスタートしたのです。剣心は「数多の命をうばってきた男が幸せになることなど、許されるはずもない」という意識が根底にあった。それを承知の上で薫殿の深い愛により結婚することができ、こどもをもうける幸せまでも体験することができたのです。けれども剣心は、家庭の幸せに甘んじて留まる人生を選択しませんでした。彼の意識の根底には「かならず、生涯をかけて罪をつぐなう」決心が大前提であり、それを実践する人生でなければならなかったから。剣心はこう言っています。「許されるものなら、残りの人生、すべてをかけて薫殿ただひとりをしあわせにするために生きていけたら、どんなに幸せか・・・」
★剣心の「感染症」は、まさに「るろうに献身」の結果。
奉仕活動を十数年続けてきたなかで、ついに剣心は不治の病にかかってしまいます。剣心の不治の感染症は、それだけ長年にわたる「壮絶な奉仕に身を殉じた行為」の描写に他ならないのです。当時の衛生状態からすると、病人看護をして感染することなど、珍しくはなかったはずです。剣心はこう言っていました。「剣なく人を守る力すら失ったいまの自分にできることは、高みから手を差し伸べるのではなく、苦しみ、痛みを分かち合い、少しでも生きる励みとなること・・・薫殿、許してくれるか?」と。
★薫殿が剣心の病気をもらった、ほんとうの理由。
薫殿はひとり奉仕に身を徹する夫を待ち続けながら、子育てと道場の運営をきりもりしてきたのです。決してやわな女性ではありません。薫殿は別離のさみしさから夫とのつながりを求めて病気をもらったようなセリフを言いますが、もっと実は深いかもしれません。わたしは女性ですが、男性諸氏ならおわかりだと思います。男性の生きる欲求の根源が何であるかを。
薫殿は、「今度、剣心が帰ってきたら、・・・剣心が生きる喜びを感じてくださるのならば、生きている実感を得てくださるのならば・・・(病気がうつることを百も承知で)・・・あなたの欲求を満たしてさしあげたい・・・わたしはあなたの妻ですから・・・!」という薫殿の献身的な愛だったのかもしれません。そして剣心はそんな妻に甘んじて、妻の上に覆いかぶさるのです。「すまない、薫・・・」と言って・・・。恵さんはこう言っています。「そんな病を、みずから受け容れたのよ・・・それがあの子の尽くし方」と。
★左之助は、大陸を離れられない理由があった。
山県有朋(第3代内閣総理大臣)に大陸への出動を要請されて海にわたった際、海に落ちて記憶を失った剣心。クライマックス直前で、左之助は剣心を見つけ介抱するが、剣心ひとりを日本行きの船に乗せて見送ります。おそらく、もう二度と会えないだろうことを思いながら、剣心を抱きしめて別れるのです。
ところで左之助のモデルは新撰組の原田左之助です。原田は維新後、大陸に渡り馬賊の頭目になったという史実があるようです。ということは、この作品中の左之助も馬賊であることがわかります。(左之介も新天地で生きる道を見つけたのですね^^)剣心に対して「連れて行ってやりたいが、俺はこっちでやることがあるんでな」と言って、付き添い人を頼んで左之助は見送ります。このとき左之助はできる限り精いっぱいの行動をとったのです。
★剣心の「死」はまぬがれない結果。悲しいけれど・・・。
剣心は人の命をうばったから自分も(病気という形で)命を落とさなければならなかった。因果律です。それでも善なる人生を歩もうとする剣心の姿に胸をうたれるのであり、その夫をひたすら深い愛で支える妻の描写が美しいと感じるのです。
ふたりはどこまでも「愛のために」生きたのです。これこそ、人間が転生する真なる目的であり、その実践の結果が愛であるか否か・・・ここに到達してはじめて、輪廻の環から解き放たれる――この作品の味わいは、そこにあるのだと言えるでしょう。
★剣心の命はすでに剣路にバトンタッチされている。
全体的に重い話の中で、唯一の希望は剣路の存在。父親に反発してはいるが、同じ剣の道を歩んでいることや、比古清十郎のもとに転がり込んだ様子などから、実際は父の愛を渇望していることが読み取れます。弥彦から逆刃刀を受け取るシーンは本当にすばらしい。しかしこのシーンにこそ、父の人生を受け継ぎ、己の人生を歩む新たな幕開けとなるのです。剣心は親も知らない孤児でした。けれど剣路はまちがいなく両親に愛されて育ったのです。剣路の「俺たち、幸せになろうな」という言葉はこのストーリーを締めくくるにふさわしく、おそらく剣路も人の子の親になって初めて、父親の存在の偉大さをかみしめ、心から感謝することでしょう。
===この作品から受け取ったメッセージ===
剣心が生まれた江戸時代までは日本が世界で唯一成し遂げることができた、「完全循環型社会」であり、日本人の精神を美徳とする幸せな文化が続いた世界でも類を見ない成熟した社会でした。明治維新は、日本の文化と精神を完膚無きまでに否定した、西洋礼賛の黎明期でした。それから約150年。わたしたちはすっかり欧米型の狂った日本人としてできあがってしまいました。剣心たちが、現代のわたしたち日本人を見て、「日本人の精神は、死んでしまったのでござろうか」と絶句してしまうことは容易に想像できます。この作品は、現代の価値観で見れば、ナンセンス極まりないでしょう。武士道精神は今の価値観とまったく逆なのですから。けれども日本人としてのDNAを保持しているわたしたちは、明治維新に生きた記憶も刻印されているわけで、殺したり殺されたりの人生も経験してきているのです。過酷な時代を生き繋いでくれたご先祖様に、深い感謝をあらためて感じずにはいられません。どんな境遇にあろうとも、人間として生まれてきた以上は、剣心や薫殿のように、ただひたすらに無条件の愛を生きることが真なる目的であることを思い出させてくれる作品でした。剣心や薫殿に恥じぬよう、しっかり目を覚まして謙虚に生かさせていただきたいという思いにさせられました。そういうわけで★5!です。
以上、わたくしの一個人としての感想でした。
★1つをつけるのも、★5つをつけるのも、あなた次第です。どうぞご覧になってみてください。
===星霜編を鑑賞するためのアドバイス===
●原作者のストーリーとは、別ものであり、原作者でない人物が脚本を書いたものであるということを認識したうえで視聴する心構えが必要です。
●必殺技を駆使したエンターテイメントではありません。内面の描写を最大限に掘り下げた作品です。
●本来の日本人魂が生きていた時代の物語です。現代人の価値観を外してお楽しみください。
長文お目通しいただき、感謝いたします。
2020年1月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
人誅編が実写化されるので追憶編を見返しました。そして、
ずーーっと避けて通ってきましたが この度星霜編を見てみようと思いたちました。
キャラデザ、よかったです。今をときめく鬼滅の刃の松島さんでしたね…
後、知らなかったんです。少し縁の映像がある事を。佐々木望さんの地声に近いのでしょうか?NG5の頃の佐々木望さんの声しか知らなかったのでビックリしました。声を潰されたとは伺っていましたがなかなか大人の声でいい感じでした。
いや~映像が良過ぎるので余計に内容が辛すぎます。あんな剣心は見たくないかもしれない…と思いました。当時リアタイで見られた方々の心中お察しします。
時間が経った今だから冷静に見ることができますが、追憶編まででいいですかねぇ。
星霜編はパラレルって事で。
今、原作で北海道編が始まって余計にそう思います。
ずーーっと避けて通ってきましたが この度星霜編を見てみようと思いたちました。
キャラデザ、よかったです。今をときめく鬼滅の刃の松島さんでしたね…
後、知らなかったんです。少し縁の映像がある事を。佐々木望さんの地声に近いのでしょうか?NG5の頃の佐々木望さんの声しか知らなかったのでビックリしました。声を潰されたとは伺っていましたがなかなか大人の声でいい感じでした。
いや~映像が良過ぎるので余計に内容が辛すぎます。あんな剣心は見たくないかもしれない…と思いました。当時リアタイで見られた方々の心中お察しします。
時間が経った今だから冷静に見ることができますが、追憶編まででいいですかねぇ。
星霜編はパラレルって事で。
今、原作で北海道編が始まって余計にそう思います。
2018年5月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
テレビ番と比べて大人のドラマ。
一人の人間の因果応報の人生を描いている
一人の人間の因果応報の人生を描いている
他の国からのトップレビュー

Memly
5つ星のうち5.0
Beautiful Ending to a Difficult but Satisfying Life's Journey of a Beloved Anime Hero/Heroine/Series
2017年5月10日にアメリカ合衆国でレビュー済みAmazonで購入
I watched this years ago and always wanted to own it. I finally pulled the trigger and purchased my own copy for my collection as foreign DVDs can be quite pricey. I bought this when it was $50 and the 4-part single disc prelude Rurouni Kenshin Tsuioku Hen for $90. I've watched the other disc many times already but not this one yet. I think it is because I've seen it before and I know how it ends. Kenshin's (and Kaoru's) life and story is so sad at times, I don't want to cry myself to sleep at night:)
But having seen it before, I can attest to the beautiful and smooth animation. If you love the series or characters and you want to find out what happens in the end, you will love this and will want a copy for your collection. Just be ready to experience a wide range of emotions.
But having seen it before, I can attest to the beautiful and smooth animation. If you love the series or characters and you want to find out what happens in the end, you will love this and will want a copy for your collection. Just be ready to experience a wide range of emotions.

Kat Clyde
5つ星のうち5.0
What I was wanting
2022年5月10日にアメリカ合衆国でレビュー済みAmazonで購入
This was exactly what I was expecting and wanting.

Firas Barry
5つ星のうち5.0
Rurouni Kenshin OVA -Reflection
2013年5月22日にアメリカ合衆国でレビュー済みAmazonで購入
If you're a fan of The Kenshin Series, you have to own this. Beware of a roller coaster of emotions