ドイツの話やのになんでスペインと戦ってんねん思われた方もいらっしゃるかと思いますが、
当時はスペイン国王も神聖ローマ(≒ドイツ)皇帝もハプスブルク家でした。
神聖ローマ帝国のフェルディナントはガチガチのカトリックで、
スペインおよびバイエルン他のカトリック諸侯と結んで帝国内のプロテスタントを圧迫し、
それに対抗したのがプファルツ選帝侯フリードリヒでした。
フリードリヒは嫁の実家であるイギリス(プロテスタント)の支援を当てにしていましたが、
あっさりとスルーされて、ハプスブルク家にボコられたあげく歴史の表舞台から放り出されます。
その後介入したデンマーク(プロテスタント)はバイエルン王に仕えるティリー伯と、
皇帝の傭兵隊長ヴァレンシュタインによって撃退されます。
カトリックの優位が揺らぐのは、この物語の始まりから11年後となるブライテンフェルトの戦いで、
北方の獅子王ことスウェーデン王(プロテスタント)グスタフ・アドルフがティリーの軍に完勝を収めてからになります。
ちなみにブライテンフェルトの戦いは、効率的に火器を運用したグスタフ・アドルフが、
伝統的な方陣であるテルシオを用いるティリーを圧倒した、ヨーロッパにおける長篠の戦いとでも呼ぶべきものです。
この作品でどこまでの歴史が描かれるかはわかりませんが、史実に則るなら当面主人公たちは苦難の連続です。
カトリックに与する(と思われる)主人公の仇も、火器によって戦争の形を変えるには至らずに終わります。
史実でそれをなしとげたのはプロテスタント側ですから。
歴史の渦の中で登場人物たちがどうあがくのか、この先の展開が楽しみです。
なお、以下の書籍をお読みいただくとこの作品がさらに楽しめるかと存じます。
1.シルレル(シラー) 三十年戦史 岩波文庫
古典中の古典、名作中の名作(ただしヴァレンシュタインが死ぬまで)。
絶版につき古本を購入するしかありません。
2.菊池良生 戦うハプスブルク家 講談社現代新書
いろいろはしょっている部分はあるものの、入門書としては最適。
3.ジェフリ・パーカー 長篠の合戦の世界史 同文舘出版
ひょっとしたらこの作品とはほとんど関係のない、
ひょっとしたらこの作品の裏のテーマについて詳述した本です。
蛇足ですが、この時代のドイツ史は、中二病的な意味においてもはななかなかに愉快です。
フェルディナントの二代前にあたる皇帝ルドルフ二世は「プラハの魔術皇帝」と呼ばれ、
怪しげな錬金術師、あるいはアルチンボルトのような破天荒な芸術家のパトロンでした。
秘密結社薔薇十字団の原典とでも言うべき「化学の結婚」は、
プファルツ選帝侯フリードリヒとイギリス王女の婚姻を題材としています。
1巻を読んだ限りでは、複雑な背景をできるだけシンプルに描く方向のようですが、
この時代の混沌にどこまで踏み込むかも興味ぶかいです。

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イサック(1) (アフタヌーンKC) コミック – 2017/7/21
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2つの勢力に別れ、後に30年戦争と呼ばれる激しい戦いの最中にあった17世紀の神聖ローマ帝国。そこに傭兵として現れたのは「イサック」と名乗る日本人の男! 遠く日本を離れ、ヨーロッパ大陸までやってきたイサックの目的とは!? 彼の壮絶な戦いが始まる!! 『勇午』の真刈信二氏と『死がふたりを分かつまで』のDOUBLE-S氏の新タッグがおくる、骨太エンターテイメント!
- 本の長さ216ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2017/7/21
- 寸法13 x 1.5 x 18.3 cm
- ISBN-104063882810
- ISBN-13978-4063882810
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商品の説明
著者について
DOUBLEーS
2005年より2015年まで『死がふたりを分かつまで』(原作・たかしげ宙)を「ヤングガンガン」(スクウェア・エニックス)にて連載。
2017年より『イサック』(原作・真刈信二)を「アフタヌーン」にて連載開始。
真刈 信二
1993年、「モーニング」に掲載された『オフィス北極星』(作画・中山昌亮)で漫画原作者デビュー。2013年より2015年まで「アフタヌーン」にて『スパイの家』(作画・雨松)を連載。
2005年より2015年まで『死がふたりを分かつまで』(原作・たかしげ宙)を「ヤングガンガン」(スクウェア・エニックス)にて連載。
2017年より『イサック』(原作・真刈信二)を「アフタヌーン」にて連載開始。
真刈 信二
1993年、「モーニング」に掲載された『オフィス北極星』(作画・中山昌亮)で漫画原作者デビュー。2013年より2015年まで「アフタヌーン」にて『スパイの家』(作画・雨松)を連載。
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2020年6月29日に日本でレビュー済み
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TVで日本人が傭兵として海外に渡ったと知り、色々調べてる内にこのマンガを知りました。日本の銃は海外の物に比べると不純物が少なく、多い火薬で撃て威力があったとの事。正にこのマンガと同じだったのでびっくりです。
2021年2月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
物語の舞台は神聖ローマ帝国。宗教戦争である30年戦争(1618~1648年)の真っ最中。
主人公である日本人のイサックは親方の「仇討ち」のためにヨーロッパに渡り、傭兵としてプロテスタント勢力のオランダから派遣された火縄銃を使う銃士。
戦国時代に渡航して仇討ちを果たそうとするイサックの執念も凄いですが、3巻で語られるイサックと仇討ち相手との過去を読むと現在の鋭い眼光を宿した主人公の変化の過程が感慨深い。
「仇討ち」が最大の目的であるイサックだが、それだけではない。ヨーロッパで出会った人々への「恩返し」の姿勢も魅力の一つだと思います。
主人公である日本人のイサックは親方の「仇討ち」のためにヨーロッパに渡り、傭兵としてプロテスタント勢力のオランダから派遣された火縄銃を使う銃士。
戦国時代に渡航して仇討ちを果たそうとするイサックの執念も凄いですが、3巻で語られるイサックと仇討ち相手との過去を読むと現在の鋭い眼光を宿した主人公の変化の過程が感慨深い。
「仇討ち」が最大の目的であるイサックだが、それだけではない。ヨーロッパで出会った人々への「恩返し」の姿勢も魅力の一つだと思います。
2018年1月30日に日本でレビュー済み
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17世紀のヨーロッパでの戦争を描い作品だが、主人公は日本人の男
仇討ちのためにヨーロッパに移り住み傭兵となる、しかも主が刀ではなく銃士!
巧みに扱うその様がまるで殺陣でも見ているかのように一閃としていて
知略にも優れている、しかし仇討ちの憎悪は燃やしてる様が対照的で
歴史物、戦争ものであるにもかかわらずすーっと読めます、面白い
2巻も同時に買ってみましたが一気読みしてしまい正解でした、アフタヌーンは良作が本当多くて、イサックもとてもおススメです
ヒストリエやアルスラーン戦記好きな人はおすすめ
仇討ちのためにヨーロッパに移り住み傭兵となる、しかも主が刀ではなく銃士!
巧みに扱うその様がまるで殺陣でも見ているかのように一閃としていて
知略にも優れている、しかし仇討ちの憎悪は燃やしてる様が対照的で
歴史物、戦争ものであるにもかかわらずすーっと読めます、面白い
2巻も同時に買ってみましたが一気読みしてしまい正解でした、アフタヌーンは良作が本当多くて、イサックもとてもおススメです
ヒストリエやアルスラーン戦記好きな人はおすすめ
2024年3月1日に日本でレビュー済み
1巻は設定も面白く読めたのだが肝心な火縄銃の取り扱いがとても気になり、とてもじゃないが読めなくなった。火薬を紙に包み筒に入れる、火薬と玉を詰めた火縄銃を地面に強く叩き付ける。そんな事をしたら銃が台座から外れ壊れる。実際やらないやってはならない事が非常に気になる。火薬はヒョウタンに入れ持ち歩くものです。ビジュアルは良いが現実離れし過ぎで見ていられない。あれさえ無ければ読み続けていた。
2020年3月1日に日本でレビュー済み
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今更知ったのだが出会ってよかった作品だった。書店にて全巻購入しようと考える。
2019年10月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
導入部から引き込まれ最初から最後まで一気に読んだ。
思わず2巻も購入。
思わず2巻も購入。
2021年5月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
当方ライト目な歴史モノファンで日本史と欧州の歴史特に戦争ものは大好きな者ですがこれはとても面白い作品。
現時点で一気に全巻を揃えたけど読み応え充分。ゼッタがとにかくよく笑うしいい意味で天真爛漫そして可憐な上にかわいいだけでなくイサックを支える存在でもあるのが良い。
彼女の為に身を賭して闘う男達が居るのも良く分かるしその様にも描かれている。
星が4なのは、顔の描き分けや顔と全身のバランスが些かなところ。しかし迫力は充分表現されていると思う。
現時点で一気に全巻を揃えたけど読み応え充分。ゼッタがとにかくよく笑うしいい意味で天真爛漫そして可憐な上にかわいいだけでなくイサックを支える存在でもあるのが良い。
彼女の為に身を賭して闘う男達が居るのも良く分かるしその様にも描かれている。
星が4なのは、顔の描き分けや顔と全身のバランスが些かなところ。しかし迫力は充分表現されていると思う。