内容説明
高畑勲とはいったい誰なのか?高畑を中心とした私的なアニメ受容史をとおし、日本アニメ隆盛の経緯と、「不思議の国・日本」に生きる知識人の宿命を、小谷野敦が暴き出す。
目次
序 『赤毛のアン』の衝撃
第1章 高畑勲の軌跡
第2章 アニメの監督として
第3章 ヨーロッパへの憧れ
第4章 『コナン』と『赤毛のアン』
第5章 日本へのまなざし
著者等紹介
小谷野敦[コヤノアツシ]
1962年茨城県生まれ、埼玉県育ち。比較文学者、作家。東京大学文学部英文学科卒。同大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了、学術博士。元大阪大学言語文化部助教授。2002年に『聖母のいない国』でサントリー学芸賞受賞。2010年に「母子寮前」で第144回芥川賞候補(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
17
宮崎駿の評論本が山のように出ているのに比べ、高畑勲関連書籍があまりに少ないことは、以前から不満ではあった。著者も同じように感じていたらしく、ならば自分がとの思いで書き始めたのだという。左翼思想と西洋への憧れという高畑の精神のありようから、高畑作品を解読していこうと試みるのだが、それが説得力を持った論になっているかといえば、心許ない。自身のアニメファン史としての思い出語りが、散漫さを助長もしている。ところが、あくまでアニメファンとしての潔いその語りが、奇妙な好感を与えているのも事実だ。(つづく)2013/11/05
厩戸皇子そっくりおじさん・寺
16
私はアニメ映画をほとんど見ないので、著者が小谷野敦でなかったら読まなかったであろう本。しかし読み始めるとなかなか面白い。ただ、これを読むと高畑勲がそんなに優れた作家だと思えないのも事実。宮崎駿の方が優秀に思える。世界名作劇場やロボットアニメの話は懐かしくて、幼少時代の色んな事が思い出された。ウルトラマン本も読みたくなった。風の谷のナウシカは一度見てみよう。2013/07/31
モリータ
5
◆2013年刊。◆授業で『火垂るの墓』を扱い、『かぐや姫の物語』を観たので補いに。◆教育者だった父/『ホルス』の失敗/「不必要に生真面目」/◆仏文や美術、宮澤賢治への造詣に対して凡庸な環境・政治・戦争論◆著者の『かぐや姫の物語』論: https://jun-jun1965.hatenablog.com/entry/20170215 2023/02/09
kokada_jnet
4
ほぼ同時刊行の『ウルトラマンがいた時代』が特撮語りで、こちらは、高畑・宮崎作品を中心にした、猫猫先生風アニメ語り。「戦後児童文学/世界名作劇場」論や、高畑・宮崎の左翼性の分析など、私は面白く読んだが。ツッコまれないように、もう少し慎重に、事実確認して執筆したほうがよかったような…。 2013/04/14
poefan
1
簡便な高畑勲読本。最後のセリフが泣かせる。2013/06/22