賛否両論の新装版の表紙ですが、
この表紙、実は
「弐瓶先生の本意ではなかった」
のです!!
この表紙になった経緯が作者後書きに書いてありますが(kindle版には未掲載)、その内容を読んで長年のファンとしてあまりに居た堪れない気持ちになったので、真相拡散を兼ねてレビューを書きます。
後書きによると、弐瓶先生は当初、霧亥とドモチェフスキーが銃を構えている表紙のラフ画を提出したそうです。
ところが、担当編集者に「おっぱい描けばいいんだよ」と一蹴され、さらには、弐瓶先生の「漫画家になって20年、たまには描きたい絵を描きたかった」想いを打ち砕くような「描きたいものとは正反対の多数の指定」が編集者から加えられて(サナカンの肌色やシボの胸を大きく等)、結果出来上がった「シボとサナカンは原作と全く別人になってしまった」とあります。
弐瓶先生はシボの胸を描き直しながら、涙を流したそうです。
このような時、担当に抗議して徹底的にやり合う漫画家もいるのかもしれませんが、その労力や時間に見合うだけの対価が漫画家にもたらされる保証はありません。
(後書きにある編集者の言動態度は礼儀を欠いており、作製過程が二瓶先生にとっていかに精神を削る作業だったか想像できます。この様な状況下で(心も)折れてしまった作者を責めることは誰にもできないだろうと私は感じました。)
弐瓶先生は「(表紙を描かないと新装版が世に出ないため)この本を1人でも多くの人に手に取ってもらうために邪念を捨てて作業したが、田舎で暮らす年老いた両親には(表紙を)見られたくない」と後書きに書いています。
また、この表紙だけでなく、全てのカバーイラストに「原稿料が出ない」ことも書いてあり、講談社と担当編集者の漫画家に対する敬意の無い対応に憤りを感じました。
本意ではなくともしっかり絵を仕上げる弐瓶先生の意地と、編集者の無理な要求に応え得る漫画家としての力量を尊敬するとともに、何とも言えない気持ちになりました。
私は二瓶作品初期からのファンです。
私生活の忙しさにこの本を手に取るタイミングを逸し、今更ながら購入しましたが、何故もっと早く買わなかったのだろうと思いました。ブラムファンならば絶対に買って損はありません。ブラム本作のストイックで殺伐とした世界に無い要素があって、ホッとしました。ある種の救いがあったような感覚にすらなりました。
ブラム学園以外の短編作品も、必読です。
特に商業誌未発表作品の「ポンプ」はさすがの世界観で唸りました。
しかし今回、表紙作製の舞台裏を知り、作者の意向よりも商業的な売れ筋に迎合させようとする出版社側の力が作品に大きな影響を与えてしまう可能性については、正直心配になりました。
(カバーイラスト作製時期と人形の国は時期が重なっているそうですが、同作品で顕著に目立つようになった萌え要素や裸体描写を弐瓶先生が「描きたくて描いている」のなら良いのですが、、、そうであることを祈っています。
ちなみに、ブラム学園では作者が楽しんでユーモア、萌え、お色気に振っているのが分かるので安心して笑って読めました。)
作品が「作者が描きたくて描いたもの」という大前提が崩れてしまっては作者も読者も不幸です。
今、私が一読者として出来ることは、弐瓶先生の切なる願いである「1人でも多くの人にこの本が手に取ってもらえる」ようレビューを書くことだと、そのような想いでこれを書いています。
■担当編集者へ■
作品が多くの人に受け入れてもらえるようにするのは編集者の仕事かもしれませんが、作者の意向に反する指示で創作を縛るのはやめて頂きたいです。
シボやサナカンのスラッとソリッドな質感の身体に大きな・柔らかそうなおっぱいが付いているのは単純に不自然ですし、女性性の強調は無機質なブラムの世界観を壊します。
原作本編では勿論、ブラム学園ですら決して巨乳には描かれていない胸を強調し、蛇足とも言える編集者指定の装飾を盛り込んだ絵を半ば強制的に描かせて「作品集の表紙」にする事の意味と影響をよく考えてください。
(作品集の表紙にも関わらず「自分の絵」が描けなかった作者の心情を思うと、本当に言葉がありません。無償で強いる仕事の範疇を大きく超えていますし、それが出版業界の慣例なら恥じるべきです。)
そもそも、ブラム(弐瓶作品)ファンは女性キャラの胸の大小で本を買う買わないを判断するような読者層ではありません。
作者の意向や作品の世界観を無視した、編集者(出版社)の「おっぱい描いとけばいいんだよ」という思考停止営利主義は作者を蹂躙するだけでなく、作者が読者から誤解を受けて二重に苦しむ状況を生み出します。
実際、この表紙を弐瓶先生が「描きたくて描いた絵」だと誤解している読者は多いのではないでしょうか。
そしてその誤解を受けることが耐えられないから、弐瓶先生は後書きに経緯詳細を書いたのだと思いますが。
また、原作を愛するファンにとって、別人のようなシボとサナカンの表紙は、むしろマイナスに働く可能性すらあることを真摯に受け止めるべきです。
私は弐瓶先生が描きたかった霧亥とドモの表紙バージョンがあったら迷わずそちらを選びます。
萌えや巨乳を否定しているのではありません。それが作者の本意でなかったことを問題視しているのです。
今後は、弐瓶先生の描きたい絵(作品)を世に出してください。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
新装版 ブラム学園! 弐瓶勉フルカラー作品集 (KCデラックス) コミック – 2018/2/9
弐瓶 勉
(著)
フルカラーの作品集『ブラム学園! アンドソーオン 弐瓶勉作品集』が大幅にパワーアップ! 驚愕の描きおろしカバーイラスト! さらにアニメ『シドニアの騎士』のBOX特典での描きおろしフルカラー漫画『つむぎ、『ブラム!』にハマるの巻』を単行本に初収録! B5サイズの大迫力でお届けする、新装版と呼ぶには豪華すぎる超大型増補改訂版!
- 本の長さ176ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2018/2/9
- 寸法18.3 x 1.3 x 25.9 cm
- ISBN-104065107865
- ISBN-13978-4065107867
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
著者について
弐瓶 勉
1971年生まれ。男性。福島県郡山市出身。代表作に『BLAME!』『バイオメガ』『シドニアの騎士』など。1995年、『BLAME』がアフタヌーン四季賞で谷口ジロー特別賞を受賞。その後高橋ツトムのアシスタントを務めた後、『BLAME!』の連載をスタート。2009年より月刊「アフタヌーン」で『シドニアの騎士』を連載。
1971年生まれ。男性。福島県郡山市出身。代表作に『BLAME!』『バイオメガ』『シドニアの騎士』など。1995年、『BLAME』がアフタヌーン四季賞で谷口ジロー特別賞を受賞。その後高橋ツトムのアシスタントを務めた後、『BLAME!』の連載をスタート。2009年より月刊「アフタヌーン」で『シドニアの騎士』を連載。
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
イメージ付きのレビュー

5 星
表紙買いするにはお値段が張るが…
もとのコミックスがプレミアがついててKindle版しか持ってなかったのですが、新装版ということで購入。表紙は誰⁈って感じですが華やかでよいです(π/)。あと後書きが非常に面白くて、この2点だけで買った甲斐があったなと。新装版BLAME!より薄いですが、フルカラーなのでお安く感じます。並べてみると狂気を感じるのでおススメです。
フィードバックをお寄せいただきありがとうございます
申し訳ありませんが、エラーが発生しました
申し訳ありませんが、レビューを読み込めませんでした
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2020年11月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2018年2月12日に日本でレビュー済み
もとのコミックスがプレミアがついててKindle版しか持ってなかったのですが、新装版ということで購入。
表紙は誰⁈って感じですが華やかでよいです(π/)。
あと後書きが非常に面白くて、この2点だけで買った甲斐があったなと。
新装版BLAME!より薄いですが、フルカラーなのでお安く感じます。
並べてみると狂気を感じるのでおススメです。
表紙は誰⁈って感じですが華やかでよいです(π/)。
あと後書きが非常に面白くて、この2点だけで買った甲斐があったなと。
新装版BLAME!より薄いですが、フルカラーなのでお安く感じます。
並べてみると狂気を感じるのでおススメです。

もとのコミックスがプレミアがついててKindle版しか持ってなかったのですが、新装版ということで購入。
表紙は誰⁈って感じですが華やかでよいです(π/)。
あと後書きが非常に面白くて、この2点だけで買った甲斐があったなと。
新装版BLAME!より薄いですが、フルカラーなのでお安く感じます。
並べてみると狂気を感じるのでおススメです。
表紙は誰⁈って感じですが華やかでよいです(π/)。
あと後書きが非常に面白くて、この2点だけで買った甲斐があったなと。
新装版BLAME!より薄いですが、フルカラーなのでお安く感じます。
並べてみると狂気を感じるのでおススメです。
このレビューの画像

2020年4月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
シドニアの騎士をアニメで見てから弐瓶勉の作品にハマってます。アバラ、ブラム、シドニアの騎士の新装版を購入していたのにこれを忘れていました。(本屋で注文したけど在庫無し、なんで?)内容的には間違いなく弐瓶勉で思わずニヤリ、、、。人形の国も宜しく。
2018年7月13日に日本でレビュー済み
大きさはB5サイズ、少年週刊誌の大きさです。
内容は十分面白いお色気やギャグも多数あり読みやすいと思います。
カラー作品が多く紙面が大きい特装版でみると迫力が違います本当におすすめです。
内容は十分面白いお色気やギャグも多数あり読みやすいと思います。
カラー作品が多く紙面が大きい特装版でみると迫力が違います本当におすすめです。
2019年7月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
フルカラーで1編ストーリーが追加されていて、内容は全く問題ないです。大好きです。
表紙が大嫌いです。作者は、最初は霧亥とドモチェフスキーが銃を構えている表紙だったと書いています。その表紙に変更して販売し直して欲しいです。
表紙が大嫌いです。作者は、最初は霧亥とドモチェフスキーが銃を構えている表紙だったと書いています。その表紙に変更して販売し直して欲しいです。
2018年8月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
kindle版は、他のレビュアーの方が褒めている作者後書きが未掲載という残念な仕様なので、ちゃんと掲載版に作り直して欲しい。
閲覧上の注意として、おっぱいがそこそこ出てくるので、公共交通機関での閲覧はその点を留意して下さい。
【2022.01.22追記】
数ヶ月放置されていた、販売媒体をkindleから紙書籍に切り替えると新装版では無い方の商品に切り替わる不具合は修正されたので、それに関する記述は削除しました。
閲覧上の注意として、おっぱいがそこそこ出てくるので、公共交通機関での閲覧はその点を留意して下さい。
【2022.01.22追記】
数ヶ月放置されていた、販売媒体をkindleから紙書籍に切り替えると新装版では無い方の商品に切り替わる不具合は修正されたので、それに関する記述は削除しました。
2018年2月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
表紙がシボとサナカンだって、言われるまで気が付きませんでした(笑)
これらの短編は、単行本だとなんだこりゃですが、新装版だとすんなり?読める。カラーで読むべき作品だったのだなぁ、とあらためて。
「つむぎ、ブラムにハマる」だけでもお金出す価値あります。
これらの短編は、単行本だとなんだこりゃですが、新装版だとすんなり?読める。カラーで読むべき作品だったのだなぁ、とあらためて。
「つむぎ、ブラムにハマる」だけでもお金出す価値あります。
2018年2月11日に日本でレビュー済み
シドニア以降のライト層で、最近やっとバイオメガやBLAMEを読みましたがよくわかりません。
いやあ、この表紙はひどい!まさかこの2人だとは、作者あとがきを読むまでわかりませんでした。
まさに萌え転写。
中身は(も)ごった煮、シドニアの初期設定みたいなものが特に気に入りました。
連載中の人形の国も大変面白く、今後も期待しています。
ときどきこういうひどいものもぜひ。
いやあ、この表紙はひどい!まさかこの2人だとは、作者あとがきを読むまでわかりませんでした。
まさに萌え転写。
中身は(も)ごった煮、シドニアの初期設定みたいなものが特に気に入りました。
連載中の人形の国も大変面白く、今後も期待しています。
ときどきこういうひどいものもぜひ。